『何故、今、木造か?Ⅲ』(木の寿命)
- 2018年2月11日
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〇「木の寿命は」
屋久スギやアメリカのメタセコイヤ 2000年~3000年 松 500年~1000年 スギ 1000年~1600年 サクラ 200年~300年 の寿命とされています。
何故、長生きなのか?
生きるための機能が動物に比べずっと単純なためです。
しかし、天候、気象条件など自然環境によって大幅に影響を受け、大幅に短くなることが避けられないのです。
〇「木の生まれ変わり」
木は伐採された後、製材されてもう一度新しい生を与えられます。 法隆寺の宮大工として有名な故・西岡常一氏は 「樹齢千年のヒノキは千年もつ」 と語られたそうです。
また樹齢にかかわらず、その木本来の寿命分だけの年数に耐えられるとも言われています。
実際、樹齢1000年のヒノキで作られた法隆寺五重の塔は建てて1300年を超えた現在でも優美な姿を変えることなく生き続けています。
昭和の大修理の時、垂木などの樹を支える横架材のヒノキが屋根の重みでかなり曲がって垂れ下がっていたものが、屋根土や瓦を降ろしたところ、2~3日するうちに元の形に戻ったというエピソードもあるようです。
古民家再生についても、100年200年と大きな住宅を支えてきた構造材が鉋を一度かけるだけで木の香りが漂う美しい材として生き返ります。
まさに木は生き続けているのだと実感する瞬間です。
〇「適材適所」
木材は湿度の変化で膨張と収縮を繰り返します。 それにより割れや反りを起こし、腐ったり変色したり狂ったりする欠点もあります。
「自然素材」であるが故の欠点なのです。
しかし、私達の先祖は、木材に対してすばらしい知恵と経験を兼ね備え、更に利用する能力を持っていました。 乾燥すれば強度が増し、水に強い木、虫に強い木、耐用性に富む木など、力のかかる場所には強い木材を、素直でやさしい木材は造作材に、南向きの木は南側に、北向きの木は北側に使った方が長持ちすることを経験で知っていたのです。
「自然素材」である木は、生きて呼吸をしているのです。
その木の「くせ」を生かし、自然に逆らわない使い方をすることが、木を長く上手に利用すること、「適材適所」なのではないでしょうか!
