『何故、今、木造なのか?』
- 2018年2月7日
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建物は、構造(工法)により大まかに
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造に分けられます。
選ぶべき構造は
その建物にどんなことを望むかによって異なってきます。
地震や家事に弱いと言われる木造建物が、なぜ災害大国の日本において選ばれ続けているのか?
その木造について紹介してみます。
まずメリットとして
◎大きな魅力は建築費用が安いこと 使用する木材によって差は出るものの、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ材料費が安価で構造体が軽基礎工事も手間が抑えられるため費用が安く済みます。 あらかじめ柱に耐火処理や防錆処理をする鉄骨造に比べ、木造では内装下地材や木材自体の厚みで耐火効果を持たせるため、処理の必要がなく、木材自体の熱伝導率が低いことから、断熱性を高めるための工事も比較的簡単に済みます。 これらのことから費用は安く抑えられるのです。
◎間取りやデザインの自由度が高い 木造は基礎と土台、柱と梁で強度を保ち屋根を支える構造です。 これらの構造体さえしっかりしていれば、そのほかの部分は融通がききます。つまり間取りやデザインの設計に制約が少なく、自由度が高く、リフォームや増築への適応能力が高い。適応が高いということは家族の形態の変化にも柔軟に対応できるので長年暮らす住宅においては大切な要素である。
◎木材による精神的なメリット 木材に囲まれた生活は、人間や生物の精神を落ち着かせる効果があることが科学的にも証明されています。 木材は自然物で、木目は視覚から癒しを与え、木の匂いは疲労回復に効果があり、木に触れることで人間の脳波は安定させると言われています。長い時間を過ごす住宅でリラックスできることは大切なことです。
◎木材の持つ調湿効果 木材の持つ力の一つに調湿効果があります。 冬など室内の空気が乾燥すると、木材は蓄えていた水分を空気中に放出し、湿気の多い時期では、空気中の水分を吸い込んでくれる働きがあるため、結露やカビの発生も比較的抑えられます。

次にデメリットとして
○耐久性の低さ 鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べると劣ります。 しかし、定期的なメンテナンスと住み方によっては、長く住み続けることが出来ます。特にポイントとなるのが防蟻点検、配管関係・外観のメンテナンスです。
○他の構造に比べて火災に弱い 木=燃えるものというイメージから、木造の火災に対しての弱さは、心配されがちですが、火事が起きてしまえば、どのような構造であるか問わず、大規模なリフォームまたは建て直しが必要となります。 木造住宅は火災が怖いからと避けられますが、火災に対して大きな違いは延焼を防ぐ能力の差です。鉄筋コンクリート造なら、火事でも燃えないという訳ではありません。 外装に防火サイディング(外装の仕上げ材)や軒天材、防火戸を用いることで、延焼を防ぐ役割を果たしてくれます。
○シロアリを代表とする害虫被害 代表的なのがシロアリの構造材への浸食です。 対策として、5年ごとの防蟻点検と薬剤散布を必ず実施し、構造体への浸食を起こさないようにすることです。 構造材については檜を用いたり、加圧注入された薬剤散布された材料を用いることも有効です。 少し高額にはなりますが、ホウ酸系の薬剤も最近は増加しています。
○気象災害による劣化 気象災害による劣化も、ほかの構造に比べると受けやすい構造といえます。 台風等で被害を受けることもありますが、逆に木造は部分的な修繕がしやすいという特徴があります。
○建物としての寿命が短い? 木造の寿命は短いと言われることがありますが、寿命を迎えて住めなくなってしまうことではありません。
各構造の平均寿命は次のとおり
40~90年以上 鉄筋コンクリート造(マンション含む)
30~80年程度 木造
30~60年程度 鉄骨造
参考:「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について(国土交通省)」
どの構造においても設計の段階の配慮や生活の仕方によって、建物の寿命は大きく変動してします。
木造のデメリットに共通して言えることは、正しい対策をすることで問題点は解消できるということです。
建物の構造については、各それぞれメリット・デメリットがあります。 構造の選択は予算や土地の状況などによっても変わります。
重要なのは、
どのような建物にしたいかという思いなのではないでしょうか!
